皮膚科の疾患でも、多いと思われるものについて、いくつかご説明いたします。受診する前の参考にしていただければ幸いです。

ウオノメ(鶏眼)とイボ(尋常性疣贅)にの違いについて教えてください。
ウオノメは長期間堅い靴や幅が狭い靴などを履くことや、足の形、歩き方のクセなどのための刺激によって皮膚の一番上の角層が硬くなってできるものです。イボはウィルス感染によるものです。ウオノメとイボはまったくちがうもので治療法も異なります。お子さんの足にできるものは、たいがいはイボのほうです。イボに対しては、当院では、内服薬、外用薬、冷凍凝固法を、年齢などに応じて使い分けています。
子供の体にぶつぶつと小さなイボなできています。これはなんでしょうか?
主に夏場に、子供の体にブツブツできるイボは、水イボの可能性があります。原因はウイルスです。学校のプールやスイミングスクールなどで感染することが多いようです。水イボは、放置しておいても1~2年で自然に治癒しますが、触ったりひっかいたりすると、時には100個以上にも増えることがあります。また、スイミングスクールや保育園などでは治してこないとプールに入れてくれないこともありますので、必要に応じて治療します。治療は特殊なピンセットでむしり取ることになりますが、痛みがありますので、年齢などによって、痛み止めを使用したり、あえて取らずに様子を見ることもあります。
娘がニキビで悩んでいるようです。
思春期のニキビはあきらめるしかないのでしょうか?
ニキビは、毛穴に皮脂がつまることからはじまります。そこにニキビ菌やニキビダニが感染する事によって炎症を起こしたりします。ニキビの悪化原因には、不規則な生活やストレスなど、色々あります。治療の基本は、まずこうした原因の除去が大切です。思春期の男子では、皮脂の分泌が多いですから、洗顔も非常に大切です。ニキビがでてしまったらどうするかですが、治療の中心は外用薬、内服のビタミン剤や抗生物質、漢方薬などです。これらをニキビの状態に応じて、効果をみながら行います。
その他、最近ではケミカルピーリングという治療法もあります。
水虫は治りにくい病気だと聞いていますが、どんな治療を行うのですか?
一口に水虫、といっても、色々な症状があります。主なものは足の指の間にできる水ぶくれや皮むけ、亀裂、かゆみなどです。しかし、中にはかゆみの全くないものや、一見湿疹にみえるものもありますし、かかとの皮が厚くなってくるのも水虫が原因のことがあります。逆に、いかにも水虫に見えても、本当は湿疹のことも良くあります。水虫かどうかは、顕微鏡で水虫菌を調べることではっきりします。その後塗り薬での治療になります。
また、最近、新聞やテレビで爪の水虫のことをよく見かけます。爪が白く濁ったり、厚くなっている場合には爪の水虫が考えられます。治療は、飲み薬がよく効きますが、副作用などもありますし、よく効く、といっても1年間ほどの通院が必要です。治療が可能かどうかはご相談ください。
まだ小さな子供がいますが、最近からだに湿疹のようなものが出始めました。
これはアトピー性皮膚炎なのでしょうか?とても不安です。
アトピー性皮膚炎と診断するには、様々な条件が必要です。特徴的な部位に、毎年発生する湿疹やアレルギー素因、皮膚の状態などをみて、総合的に判断します。少し前までは小さいお子さんの湿疹(特に顔面)をみるとすぐに「アトピー性皮膚炎だ」とおっしゃる医師も多かったようです。しかし、特に乳児の顔面には乳児湿疹や脂漏性湿疹などの湿疹もよく発生するため、確実に見分けをつけるのは困難です。これらの湿疹ですと、放っておいても1歳くらいになれば自然に良くなるものです。多くの皮膚科では、1歳未満のお子さんの場合、やたらにアトピーとは診断せず、なるべくお母さん方の不安を煽らないようにしているようです。
もし本当にアトピーだとしたら、外用薬による治療が主体になります。症状に応じて、内服の抗アレルギー剤なども併用します。ステロイド外用薬が治療の主体になりますが、これも症状に応じて、強さを調節していきます。また、近年、ステロイドに替わる免疫抑制剤を使用した塗り薬が使われることもあります。長くかかる疾患ですから、根気よく、最終的には保湿クリームなどでの普段のお手入れで維持できるようにすることが治療の目標です。
医師からステロイド外用薬を使うようにと言われましたが、副作用などは心配ないのでしょうか?
最近ではステロイド外用薬を恐れる患者さんも、一時に比べると減ってきましたが、今でも時々いらっしゃるようです。湿疹やアトピーをはじめとする皮膚の疾患では、治療に最も使われるのがステロイド外用薬です。ステロイド外用薬には効果・副作用の強さが異なるものが多数あり、大きく分けて5段階に分類されています。
確かに、必要以上に強い薬を長期間使用すれば副作用(皮膚が薄くなったり、血管が目立ったり、ニキビが出たりします)の恐れがあります。しかし、皮膚の症状や部位を考えて、きちんと使用すればその恐れはほとんどありません。逆に、副作用などを出さずにしっかりと治療することが我々皮膚科専門医の技術と考えてください。
ステロイド外用薬の副作用のほとんどは、患者さんの勝手な使用や、皮膚科以外の医師からの投薬によるものなのです。